2014年5月16日金曜日

自宅リフローに挑戦しました:失敗事例集と要点

表面実装部品をリフローでハンダ付けしたいと思い、トライしました。その際にいろいろ失敗したので、記録として残しておきます。失敗例が、初めてリフローにトライする方の参考になれば幸いです。

版(マスク)の作製時の失敗

silhouette CAMEO (シルエット・カメオ)の台紙にポリプロピレン合成紙を貼って、カッティングすれば、版(マスク)を作製できます。ただし、台紙からはがす際に慎重にはがさないと、合成紙が伸びてシワが入り、版が反ってしまいます。
失敗例1: 版(マスク)が反っている

スクリーン印刷時の失敗

はんだペーストは"なまもの"なので、早めに使うべきです。私は購入してから半年程度放置していたところ、ペースト表面が硬化していました。(例えるならクレームブリュレのようでした)
失敗例2: はんだペーストが劣化

スクリーン印刷時には、平坦なスキージ(へら)を使うべきです。私が初めてトライしたときは、使い古した傷だらけのスキージ(上記写真)を使ったので、スジだらけになりました。
失敗例3: スジ状のむらが多い

さらに版が浮いてしまい、版の裏側にはんだが回り込んだことから、はんだが多すぎて隣のランドとくっついてしまいました。
失敗例4: はんだが多すぎる

部品を置く際には、手早く正確に置いてください。バキュームピックの吸着が切れてチップを落としてしまうことがあります。
失敗例5: チップをはんだの上に落とす

ホットプレートによる加熱時の失敗

ホットプレートによる温度上昇にはタイムラグがあります。昇温中に出力をOffにしても、その時点の温度から+20℃程度上昇します。
失敗例6: 温度コントロールミス

私が初めてトライした際は、240℃で出力Offにしたのですが、その後260℃近くまで上昇してしまいました。その結果、基板が変色して歪んでしまいました。
失敗例7: 高温により基板が歪む


その後:とりあえずは成功

こうした数々の失敗の結果、最終的にはリフローできるようになりました。要点を記載しておきます。
※温度条件など、より詳しい説明については、わかりやすくまとめられている記事が多数あります。末尾の参考サイトを参照ください。

スクリーン印刷のポイント

スクリーン印刷の周囲についても、面の高さを合わせること。版がぴったり印刷面に当たる事が大事です。
版が密着するように、周囲の高さを合わせる

スキージ(へら)はポイントカード等のしなやかな物を使い、30〜45度の角度ではんだを延ばします。その後、スキージを70〜80度程度まで立てて、余計なはんだをかき取ったほうが、仕上がりが安定します。
30〜45度の角度のイメージ

加熱時のポイント

使用するホットプレートの挙動を把握しておく必要が有ります。今回使用したのは山善(YAMAZEN)のグリル鍋なのですが、温度が安定するまで10分程度かかりました(下記グラフ)。160℃設定で昇温開始すると、いったん213℃まで上昇するので要注意です。
プレート表面温度変化:160℃設定、外気温25℃、空焚き時(ふた有)

上記をふまえ、10分程度の空焚きをしてからリフローを開始することにしました。私が小型基板でとりあえず成功した時のレシピを載せておきます。※もちろん、もっと良い条件があるはずです。探してみてください。
  1. 160℃設定で10分間の予熱
  2. 基板投入
  3. そのまま1分待つ
  4. 温度計をよく見ながら170℃まで上昇させ、すぐに出力Off。タイムラグがあるので180℃まで2分程度で到達する
  5. 温度計をよく見ながら210℃まで一気に上昇させ、すぐに出力Off。
  6. 220℃を超えたらストップウォッチを押し、40秒間キープする。(この間に230℃程度まで到達する)
  7. 40秒経過後、ふたを開けて冷却する。

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